身分系ビザをもつ外国人の雇用

身分系のビザ(在留資格)とは「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」ビザのことです。

これらのビザを持っている外国人は就労するにあたってなんの制限もありませんので自由に働けます。したがって新規に就労ビザを取得する必要はありません。

就労制限がないという事は、単純作業や肉体労働、レジや販売、工場の仕事でも制限なく雇用可能です。ですので、外国人を雇用する場合に一番採用しやすいのが身分系のビザを持つ外国人です。

身分系各ビザの説明

①日本人の配偶者等
日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者

②永住者
法務大臣が永住を認める者

③永住者の配偶者等
永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者

④定住者
法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者
日系人やその配偶者、「定住者」の実子、日本人や永住者の配偶者の実子(連れ子)、中国残留邦人やその親族など。

身分系ビザをもつ外国人の雇用の注意点:離婚について

  • ①「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」のビザの方の離婚
    「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」のビザをもっている外国人を雇用されている会社の人事の方にご注意頂きたいことです。

    これらのビザの方が配偶者と離婚すればそのビザは更新ができなくなりますので、雇用継続に当たっては注意が必要です。

    「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」のビザをもっている外国人が離婚した時は、外国人本人が14日以内に入局管理局に届けなければなりません。(この届出義務違反した時は20万円以下の罰金が科せられます。)

    これらの外国人の方が離婚し、配偶者としての活動を継続して6か月以上行なわず、在留している時は正当な理由がなければ、在留資格が取り消しになることもあります。

    在留資格が取り消しになると外国人社員は日本にとどまることができず、本国に帰国しなければならなくなることもあります。

  • ②離婚した場合他の在留資格に変更
    離婚後も日本にとどまることを希望する場合、離婚により「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」ビザには当たらないことになりますので、他のビザへの変更が必要となります。何の資格に変更するかは、外国人一人ひとりの状況により異なります。

    例えば、日本人配偶者との間に子供がいる場合、一定の条件を満たせば「定住者」の在留資格を取得できる可能性があります。この在留資格は就労上の制限について、「日本人の配偶者等」と変わらないので、デメリットはありません。

    専門的な学歴や経験がある場合「技術・人文知識・国際業務」「技能」「介護」「特定活動46号」等の就労系の在留資格に変更できる可能性があります。

    外国人本人に専門的な職歴や学歴がなく、仕事内容も単純労働だった場合は就労系の在留資格も取れず、帰国せざるをえない場合もあります。

    外国人社員が、帰国しなければならなくなると、もちろん会社側でも、その外国人社員を就労することができなくなります。もしも、外国人社員が、離婚した事実を隠していて、会社で働き続けていたら大問題です。会社がオーバースティの外国人を雇用していることにより罪にとわれます。

  • ③外国人社員の身分関係の把握
    会社が外国人社員の身分関係の変更を把握していないと、外国人社員が離婚して、「外国人配偶者」の在留資格のない外国人社員をそのまま雇用し続けるという危険な可能性があります。

    会社としては、日ごろから、随時、外国人社員の家族関係の変更を把握しておく必要があります。外国人社員には家族関係に変更が生じる場合には、早めに、会社に報告するよう注意喚起しておきましょう。

    また、採用時には身分関係の在留資格を有する外国人には、離婚などの身分関係に変更が生じた場合には、他の在留資格への変更が必要になる場合があることを説明しておきましょう。


出典:法務省 出入国在留管理庁HP在留資格一覧表