農業・飲食料品製造業・外食業など多岐に渡る企業の就労ビザについて

先日、農業・飲食料品製造業・外食業など多岐に渡って事業展開をしておられるハートスフードクリエーツ株式会社(以下ハートス様)の代表取締役CEO西脇章社長とお話する機会を頂きました。

今回のブログでは、ハートス様の事業について少しご紹介したいと思います。
そして、ハートス様のように多岐に渡る分野で事業をしておられる場合の就労ビザについて、ポイントをしぼってお話したいと思います。

ハートス様公式ホームページ

今回のブログ内容:
・ハートスフードクリエーツ株式会社様のご紹介
・農業・飲食料品製造業・外食業での各種就労ビザと注意点
農業分野での技能実習ビザと特定技能ビザのできる業務
特定技能ビザの農業、飲食料品製造業、外食業:どの分野で外国人を雇用するかの判断
特定技能の外食分野で受け入れられる事業者・事業所の例
外食業の特定技能外国人が従事する業務
特定技能外国人を受け入れられない事業所、特定技能外国人が従事できない業務

ハートスフードクリエーツ株式会社様のご紹介

1,ハートスフードクリエーツ株式会社様の理念

食で笑顔を届ける:
「Heart」+「Toss」心を渡す=心を込めて「Food Creates」食事を創造します。

H=Health(健康):
毎日の食事を通して身体の中から「健康」になれる安心・安全を追求した旬の食材を使用します。

E=Emotion(感動):
お客様の心に響く「感動」を与える演出を常に提案します。

A=Amenity(快適):
ご利用シーンに合わせて「快適」な空間づくりを行います。

R=Relaxation(寛ぎ):
ただお腹を満たすだけではなく、「寛ぎ」を感じていただけるスペースを提供します。

T=Tasty(美味しい):
五感に富んだクオリティーの高い「美味しい」料理をお届けします。

O=opportunity(機会):
一期一会を大切に数多くの満足を提供する「機会」を追求します。  

S=service(おもてなし):
上質な「おもてなし」の心を持ってクオリティーの高い接客を行います。

S=Solicitude(気遣い):
お客様の僅かな変化にもスタッフ全員が察知し、順応できる「気遣い」は、全てのキーワードを集約した当社の最重要項目です。

2,ハートスフードクリエーツ株式会社様の事業内容

ハートス様の事業内容は以下のように多岐に渡ります。

・求食(給食)事業:
保育園・幼稚園・こども園の給食
【導入実績】大阪・兵庫・京都に20箇所以上

・食育事業:
園施設との連携による食育

・フードコンサルティング事業:
飲食店経営や食品販売に関するオーダーメイドのコンサルティング

・外食:
神戸市産業振興センターの10階「神戸食堂はぁとす。」
兵庫県民会館1階(ロビー横)「Caféはぁとす。」

・ケータリング事業:
本格的なレストランの味をオフィスやご家庭イベント会場等にお届け

・スイーツ事業:
神戸・御影パイ専門店 旬の音(TOKINONE)
OEMスイーツ製造、商品開発)

・淡路島自社ファーム:
兵庫県淡路市・佐野地区及び野島常盤地区に約5ヘクタールの圃場を所有

先日お会いした時は、西脇章社長に事業や就労ビザに関するお話を伺いました。
そのお話の中で就労ビザに関してご留意頂ければと思うポイントを以下に書かせて頂きました。

ハートス様をはじめ、農業、飲食料品製造業、外食業を経営されている会社様のお役に立てる情報になりますと幸いです。

ハートスフードクリエーツ株式会社の西脇社長には、お忙しい中貴重なお話をして頂きました。また、ブログの中の画像も、ハートス様のホームページの画像6点を使用させて頂きました。

お話と画像のご協力頂き、心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

農業・飲食料品製造業・外食業での各種就労ビザと注意点

さて、ハートス様のように多岐に渡る事業展開をされている場合、各分野で様々な就労ビザ取得の可能性があります。

例えば、農業分野で技能実習ビザを取得する、
飲食料品製造業分野で特定技能ビザを取得する、
外食分野で特定活動46号と特定技能ビザを取得する等です。

① 取得の可能性のあるビザ代表例

・農業:技能実習ビザ、特定技能ビザ

・飲食料品製造業:技能実習ビザ、特定技能ビザ、特定活動46号ビザ

・外食業:特定技能ビザ、特定活動46号ビザ、技能ビザ

・上記の分野に共通するその他のビザ:
身分系ビザ、技術・人文知識・国際業務ビザ、留学生ビザ

身分系ビザ:
「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」ビザを持っている外国人は就労する場合、なんの制限もなく自由に働けます。
ですので、新規に就労ビザを取得する必要はありません。

留学生ビザ:
外国人の留学生等をアルバイトさせる場合ですが、採用前に在留カードの裏面を見て資格外活動許可欄に「許可」とあることを確認してください。
時間の制限もあるのでご注意ください。
アルバイトできるのは週28時間以内です。
(留学生の場合、長期休暇期間は1日8時間以内の就労が可能)

技術・人文知識・国際業務ビザ:
各分野で、大学等で学んだ専門的な技術や知識が活かせる業務に従事する等、その他の要件を満たせば、技術・人文知識・国際業務ビザの取得が可能です。

ただ、就労制限が厳しい為、入管局で決められた仕事以外はさせてはいけません。
例えば、外食業で、「営業」「翻訳通訳」「経理」等の仕事でビザが取れた場合は、基本的には入管局で決められた仕事しかできません。
ホールの仕事や調理補助、皿洗いはできません。

② 就労ビザによって、できる仕事、取得要件、受け入れ体制、家族呼び寄せなど違う

・できる仕事や取得要件:
会社様の事業分野や、各就労ビザによってできる仕事も取得要件も違います。

・受入れ後の教育体制:
就労ビザによって、受入れ後の教育体制も違ってくることが予想されます。
数年後には本国に帰らなければならないビザもあれば、日本でキャリアアップして会社の幹部候補生になることが可能なビザもあります。
日本人社員との兼ね合いもあります。そのため、受入れ後の教育体制には事前に良く考えなければなりません。

・外国人の家族(配偶者と子):
ビザによっては、本国から家族を呼び寄せることのできるビザもあれば、呼び寄せができないビザもあります。外国人の家族についても考慮が必要です。

③ 就労ビザに対する誤解

ところで、今まで就労ビザに関わったことのない会社様の中には、誤解されている担当者の方もおられます。
それは、仕方のないことなのですが、最初に就労ビザや外国人雇用に詳しい行政書士等の専門家に確認して頂くと安心です。

コワイお話ですが、あやしい仲介業者の言うままに、外国人の就労ビザを取り、その就労ビザでは出来ない仕事を外国人にさせてしまっていたということは、よく聞きます。
このように、知らずに「不法就労」させてしまっていた事例がありますので、注意が必要です。

例えば、ホテルで外国人を営業させる目的で「技術・人文知識・国際業務」ビザを取った場合、営業以外の仕事はさせられないのです。
ですが、違うビザを取得すれば営業以外のことができる場合もあります。

就労ビザを取得する場合は何ができて、何ができないビザ(在留資格)なのかを事前にしっかりとした理解が必要です。

淡路島自社ファーム

農業分野での技能実習ビザと特定技能ビザのできる業務

①技能実習の農業業務範囲

・耕種農業 「施設園芸」「畑作・野菜」「果樹」
・畜産農業 「養豚」「養鶏」「酪農」
となっています。

技能実習では、例えば耕種農業の「施設園芸」でビザを取る場合、まず外国人実習機構という機関に計画表を出して、入管局の前にその機関に認定してもらいます。

耕種農業職種(施設園芸)の計画は必須業務、関連業務、周辺業務があり、その内容と勤務時間は決まっています。

「施設園芸」の場合、施設園芸作業の必須業務の時間数は、関連業務、周辺業務に比べて一番多くなっています。その関連業務の中に「畑作・野菜作業」と「果樹作業」が入っており、その時間以内なら「畑作・野菜作業」と「果樹作業」ができます。
技能実習は特定技能と比べて、できる仕事の範囲に柔軟性がありません。

② 特定技能の農業業務範囲

【主たる業務】
・耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)
畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等))
に従事しなければなりません。

例えば、耕種農業全般の場合技能実習のようなしばりはなく耕種農業全般が出来ますが、必ず、栽培管理が入ってなければなりません。
また、畜産農業の場合も畜産農業全般が出来ますが、飼養管理が従事する業務に含まれていることが必要ということです。

【関連業務】
当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(農畜産物の製造・加工、運搬、販売の作業、冬場の除雪作業等)に付随的に従事することも可能です。
ですが、専ら関連業務に従事することは認められません。つまり、選別や運搬のみ、収穫だけ、出荷だけ、販売だけ、冬場の除雪作業などの仕事や作業だけ外国人にさせるという事は出来ないのです。

特定技能ビザの農業、飲食料品製造業、外食業:どの分野で外国人を雇用するかの判断

特定技能ビザでは、農業、飲食料品製造業、外食業どの分野で外国人の雇用になるのか、実は判断が難しいです。よくある質問でもありますので、一部をご紹介致します。

① 野菜をカットしていますが飲食料品製造業分野の対象ですか?

  • 野菜を仕入れて、すぐに調理に使用できるようにカット(炒め用やサラダ用)したものを、小売業者や卸事業者等向けに納品する事業所は対象となります。ただし、売上げ等が全体の2分の1を超えていることが条件です。

  • 野菜を仕入れて、玉ねぎの皮をむく、玉ねぎの天地カット、山芋の皮むき等の加工をしたものを、製造業者、小売業者及び卸事業者向けに納品する事業所が対象となります。ただし、売上げ等が全体の2分の1を超えていることが条件です。

  • 野菜を仕入れて、キャベツを半分にカットしたり、しいたけの石づきをカットしたりするなど、軽微な加工を行う場合は、卸売業に該当するため対象外です。

  • 野菜を栽培し、同じ事業所内でしいたけの石づきを切るなど、軽微な作業の場合は、農業に該当するため対象外です。

② 弁当、惣菜を作っています。飲食料品製造業分野対象ですか?

  • お弁当(惣菜等)を製造し、小売業者や卸事業者等向けに卸売する事業所が対象となります。

  • 持ち帰り弁当のように、客の注文に応じその場で調理した飲食料品を持ち帰る状態で提供する事業所は、外食業分野の持ち帰り飲食サービスに該当するため対象外です。

  • 仕出し弁当、デリバリーのように客の求める場所に飲食料品を届ける事業所や、特定された多人数に食事を提供する給食施設は、外食業分野の配達飲食サービスに該当するため対象外です。

    接客を伴わない、調理に特化した事業所(いわゆるセントラルキッチン、プロセスセンター)については、飲食料品製造業分野での対象となります。(調理のみで、接客や店舗管理を行わないセントラルキッチンでの外食業分野の就労は不可

  • お弁当(惣菜等)を仕入れて、店舗で販売している場合は、小売業に該当するため対象外。

注意①
1号特定技能外国人を受け入れようとする場合に当該外国人に従事させようとする業務が飲食料品製造業分野に該当するかどうか分からない時は個別にご相談ください。
注意②
飲食料品製造業分野の対象となる事業所の範囲の判断も少々難しいので、詳しくお知りになりたい企業様は個別にご相談下さい。


特定技能の外食分野で受け入れられる事業者・事業所の例

外食業分野の特定技能外国人を受け入れる事業者の例は以下の通りです。

・食堂,レストラン,料理店等の飲食店,喫茶店等:
客(※)の注文に応じ調理した飲食料品,その他の飲食料品をその場で飲食させる飲食サービス業

・持ち帰り専門店:
飲食することを目的とした設備を事業所内になく,客の注文に応じ調理した飲食料品を提供する持ち帰り飲食サービス業

・仕出し料理・弁当屋,宅配専門店,配食サービス事業所等:
客の注文に応じ,事業所内で調理した飲食料品を客の求める場所に届ける配達飲食サービス業

・ケータリングサービス店,給食事業所:
客の求める場所において調理した飲食料品の提供を行う飲食サービス業

(※ 「客」とは、飲食料品を消費する者(注文や受取りについて、代理の者を介する場合も含みます。))

外食業の特定技能外国人が従事する業務

主な業務:
外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)
ただし、在留期間全体の一部の期間において「調理担当」など、特定の業務にのみ従事することも可能。
飲食物調理
客に提供する飲食料品の調理、調整、製造を行うもの
接客
客に飲食料品を提供するために必要な飲食物調理以外の業務を行うもの
店舗管理
店舗の運営に必要となる上記2業務以外のもの

関連業務:
店舗において原材料として使用する農林水産物の生産、店舗における調理品等以外の物品の販売等。
当該業務に従事する日本人が通常従事することとなるに付随的に従事することは可能。

注意③
上記の「農林水産物の生産」については、例えば、どんな生産物をどこで、どのような生産になるのか、どのくらいの売上になるのかによって、「特定技能・農業」の対象となる場合もあります。
詳しくはご相談ください。

外食・ケータリング事業

特定技能外国人を受け入れられない事業所、特定技能外国人が従事できない業務

外食業の特定技能ビザで特に課す条件としては、以下も重要ですのでご注意ください。

接待飲食等営業関係
・1号特定技能外国人に対して、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風俗営業法」という。)第2条第1項に規定する「風俗営業」及び同条第5項に規定する「性風俗関連特殊営業」を営む営業所において就労を行わせないこと。

・1号特定技能外国人に対して、風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を行わせないこと

お問い合わせ
今回のブログにある上記の注①②③等、分野別の判断が難しい事項があります。
分野別の判断のご相談や就労ビザについて、ご質問等も受け付けております。

会社様の事業内容や外国人の雇用で担当してほしい業務をお伺いした上で、分野別の就労ビザに関するご相談をお受けいたします。
どうぞお気軽にご連絡ください。

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出典:
・外国人技能実習制度について
・外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組
・特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -農業分野の基準について
・特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -飲食料品製造業分野の基準について
・飲食料品製造業分野における特定技能外国人受入れの制度について
・外食業分野における特定技能外国人制度について

2022年10月19日