中小・小規模事業者をはじめとして人手不足は大変深刻で、日本の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきています。そのため生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業分野に、日本で働きたい外国人の受入をすることになりました。そこで、一定の専門性・技能をもつ即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築するために特定技能制度が創設されたのです。この制度で受入れる外国人のビザが「特定技能」ビザです。特定技能ビザは2019年4月から始まったビザ(在留資格)で、人材を確保することが困難な16の「特定産業分野」に外国人材を受入れが可能です。特定技能ビザには、「特定技能1号」「特定技能2号」があります。就労が認められる在留資格の技能水準からみてみると特定技能ビザは以下の図のようになります。つまり特定技能ビザ1号の技能水準は「技能実習」ビザと従来からの就労ビザの中間の技能水準になります。
特定技能1号による外国人の受入れ分野(特定産業分野)は,以下の16分野です。
(令和6年3月29日閣議決定により、対象分野に「自動車運送業」、「鉄道」、「林業」、「木材産業」の4分野が新たに追加されました。
また、同じく令和6年3月29日閣議決定により、令和6年4月から向こう5年間の各分野の受入れ見込数も再設定しました。
① 介護 :135,000人(厚生労働省)
② ビルクリーニング :37,000人 (厚生労働省)
③工業製品 製造業 :173,300人(経済産業省)
※「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」から名称を変更しました。また、新たに7業務区分(紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、陶磁器製品製造、紡織製品製造、縫製、RPF製造、印刷・製本)を追加しました。
④ 建設 :80,000人 (国土交通省)
⑤造船・ 舶用工業 :36,000人(国土交通省)
⑥ 自動車整備 :10,000人 (国土交通省)
⑦ 航空 :4,400人(国土交通省)
⑧宿泊 :23,000人(国土交通省)
⑨ 自動車運送業:24,500人(国土交通省)
⑩ 鉄道:3,800人(国土交通省)
⑪農業 :78,000人(農林水産省)
⑫漁業 :17,000人(農林水産省)
⑬飲食料品製造業 :139,000人 (農林水産省)
⑭外食業:53,000人(農林水産省)
⑮林業:1,000人(農林水産省)
⑯木材産業:5,000人(農林水産省)
※尚、受入上限数と分野について詳しくはこちらの特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)をご覧ください。
特定技能2号については、特定技能1号の12の特定産業分野のうち、建設分野及び造船・舶用工業分野の溶接区分のみが対象となっていました。
ですが、「2023年6月9日閣議決定「特定技能2号の対象分野の追加について」」にある通り、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の9分野と、造船・舶用工業分野のうち溶接区分以外の業務区分全てを新たに特定技能2号の対象とすることとしました。
これにより、特定技能1号の12の特定産業分野のうち、介護分野以外の全ての特定産業分野において、特定技能2号の受入れが可能となります。
(詳しくは上部の「特定技能2号の対象分野の追加について」をご覧ください。
尚、介護分野は、現行の専門的・技術的分野の在留資格「介護」があるため、特定技能2号の対象分野とはされていません。
令和6年5月末時点の特定技能制度運用状況 特定技能1号在留外国人数(令和6年5月末現在):245,784人
特定産業分野別特定技能在留外国人数
特定技能2号在留外国人数 (令和6年5月末現在):98人
「特定技能ビザ」更に詳しくはこちら
「技能実習ビザ」更に詳しくはこちら
出典:
特定技能ガイドブック~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ~(出入国在留管理庁)
新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組(出入国在留管理庁)
法務省 出入国在留管理庁HP
特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)