外国人の採用活動での注意点と確認ポイント

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ここでは、外国人の採用活動での注意点と確認ポイントを書類選考と面接に分けてご説明します。

外国人採用書類選考:注意点と確認ポイント

  • 1、採用目的を明確にする
    外国人スタッフを採用する場合、「採用目的を明確にする」ことが重要です。なぜならその外国人が取得するビザ(在留資格)に大きく関係してくるからです。ビザによって活動できる職務に制限があります。そのため、日本人社員を採用する場合よりも注意しなければならないポイントの一つです。日本人社員なら普通にできる、社内の「配置転換」が簡単にできない場合があります。

    特に、「技術・人文知識・国際業務」ビザの場合は、外国人を採用してどんな仕事をしてもらいたいのか? その仕事は日本人では無理なのか、なぜ、その外国人でなければならないかの必要性をはっきりさせます。それは入管局(出入国在留管理庁)に申請する時に説明を求められる場合があるからです。

  • 2、書類審査での確認事項
    ①採用予定の外国人の専攻科目と担当業務の関連性を確認する
    履歴書、職務経歴書を送ってもらうことと思いますが、大学、専門学校の成績証明書を提出してもらい、学校での履修内容と仕事内容との関連性を確認します。

    職歴のある人の職務経歴書では「いつからいつまで、どのような会社に雇用され、どのような権限・責務で、どのような職務内容を行いどのような業績をあげたかを具体的に記載してもらいます。

    上記しましたが、貴社はビザ申請の時に、 その外国人が何を勉強してきた(どんな経験があるか)、その知識が貴社でどんなふうに活かせるのか、(その外国人の専攻科目と担当させたい業務内容の関連性)を入管局に説明しなければならない場合もあります。ですから、面接前の書類審査から 「外国人の専攻科目と担当業務の関連性」を意識してください。


    ②在留資格と在留期限を確認する
    外国人は「在留カード」をもっています。職務経歴書等に、在留カードの在留資格・在留期限・資格外活動許可の有無を記載してもらうか、写しを送ってもらいます。そして、現在の在留資格は何か、その 有効期限(満了日)はいつかを確認します。

    これらの「在留資格」の種類と「在留期限」は会社にとって不法就労者を雇用しないための最重要項目です。これらをしっかり確認することが重要なポイントです!

外国人採用面接:注意点と確認ポイント

採用面接では、以下の5項目は必ず確認してください。

  • 1,法律上雇用できるか確認する
    在留資格は、その在留資格の範囲で、かつ定められた在留期間に限って就労が認められます。ですから面接のときにも「担当業務」が在留資格の範囲内か、在留期限を過ぎていないかを パスポート・在留カード等の現物で必ず確かめます。

    外国人の場合、職務内容以外に、募集形態によっても、お仕事できる「在留資格」が違ってくることがあります。もちろん、難しい判断になりますので、在留カードのコピーをビザ専門の行政書士などに確認し、相談しながら採用活動すすめるのが良いと思います。

  • 2,経歴・職歴・業務内容の確認する
    書類審査の履歴書や職務経歴書を見ながら、記載事項に間違いないか口頭でも確認します。そして 入社後どのような業務を担当してもらうか明らかにします。重要なのは専攻科目と業務内容の関連性なので、特に専門学校生の場合は「成績証明書」等で、しっかり確認して下さい。


    尚、詳しく「技術・人文知識・国際業務」ビザの許可不許可事例を確認したい場合は以下をご覧ください。
    ①大学の許可不許可事例はこちら
    ②専門学校の許可不許可事例はこちら

  • 3,学生時代の生活について確認する
    新卒の外国人を採用する場合、学生時代の素行も問題になります。一番危険なのは、学校にあまり行かず、アルバイトを規定の週28時間を超えてしていたような人です。

    入国管理局からは「素行不良の人」という評価を受け、在留資格の変更申請が不許可になる可能性が高いです。ですから学生時代のアルバイトの規定時間を守っていたかの質問をして確かめて下さい。

    留学生のアルバイトについて詳しくはこちら

  • 4,前職の退職後の空白期間に注意する
    中途採用する場合は、前職の退職後の空白期間がないか注意が必要です。この空白期間に外国人が、生計を維持するため何をしていたのか、把握する必要があります。

    外国人が失業しても在留期間の満了日までは在留資格は有効ですが、その外国人が正当な理由なく就労していない状態が3か月を超えている場合、在留資格が取り消されてしまうことがあります。

    このような状況にある外国人を採用しようとする場合、適正な届出がされていないことがわかると素行不良とみなされ在留資格変更ができなくなる可能性もあります。

    届出について詳しくはこちら

  • 5,日本語能力を確かめる
    採用面接で、会話能力とともに読み書きの能力もチェックしましょう。 日本での滞在期間が長くなると、日本語の日常会話はある程度できるようになりますが、読み書きができるかどうかは別問題です。会話はできても、読み書きがあまりできない外国人は少なくないです。

    会社のマニュアル等、社内文書の読解、報告書の作成等読み書きが必要な場面は多いです。履歴書の資格(日本語能力試験等)のみで判断せず、面接の場で筆記試験を行っても良いと思います。

外国人採用活動の確認ポイント   

上記したこと含めての確認ポイントは以下になります。採用活動される時には是非再確認してみてください。

  • 1、採用予定外国人の学歴、専攻と担当業務に関連性があるか確認
    学校の履修内容と仕事内容が一致しているかを、「履修証明書」や「成績証明書」等で確認します。

  • 2、在留カードの種類を確認(種類別の対処)
    「留学」なら就労ビザに変更する。
    「永住者」等身分系のビザなら就労制限がないのでお仕事可能。
    すでに就労ビザがある方は、今のビザで貴社でもお仕事できるか「就労資格証明書」を申請した方が無難。

  • 3、在留カードの期限を確認
    期限が切れていないか?
    期限が3か月を切っていたら速やかに更新申請の手続きをとる

  • 4、転職してきた外国人の注意:「就労資格証明書」で確認
    もし転職してきた外国人(すでに就労系の在留資格をもっている)を採用するなら「就労資格証明書」の申請をした方が無難です。面接にきた時点でその外国人が持っているビザ(在留資格)は以前の会社で取得した在留資格ということなので、貴社から改めて「就労資格証明書」を申請して貴社で仕事ができることがわかれば安心できます。

    ※「貴社で就労できる在留資格」であるのかどうかを確かめずにその外国人を働かせていると最悪な場合「不法就労助長罪」(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその併科)に問われる場合も考えらえます。

  • 5、転職してきた外国人の注意:長期の無職期間がある場合の確認
    無職期間が長くなると無職期間中の生活費等どうしていたのか無職期間中の不法就労が疑われたりする場合があります。面接に来た外国人の中には、無職期間が長くなってしまっている方がいます。就職活動をしてもなかなか決まらない場合も多いです。その時期に一時帰国などしているとますます無職期間が長くなりがちです。

    入国管理法では、継続して3ヶ月以上就労をしていない外国人に対して「在留資格取消制度」も設けられています。在留資格取消は必ずされるものではありませんが、無職期間が長くなればなるほど、次回の更新時にスムーズに許可されない可能性が高まります。無職期間が長くなってしまった場合には、更新手続きの際に「無職期間が長くなってしまった合理的な理由」を説明しなければ更新ができない可能性があります。

    無職期間が長い外国人材には「なぜ無職期間が長いのか」を聞いてしっかりとした対応をしなかればなりません。

  • 6、就労の在留資格が許可されなかった場合の確認
    面接結果が良くても、在留資格の変更・更新(就労資格証明書)が下りなかった場合の対処を確認しておけば、のちのちのトラブル回避になります。

    (会社側に問題なくても、例えば留学生が週28時間を超えてアルバイトしているような場合は、法律を守らず在留状況が不良ということで、在留資格が許可されない場合もあります。ですから、在留資格が許可されなかった場合のことを話し合っておく必要があります。)

  • 7、在留手続きについての確認
    在留資格の手続きを行うのは「会社か本人か」ということを話し合っておきます。もし本人が手続するなら平日の休みを有給にするのかどうか等。入管への出頭は申請と許可受け取りで2日はかかりますし、混雑している場合もあります。

  • 8、在留手続きの書類作成についての確認
    在留手続きの申請書作成には時間や手間がかかります。ましてや初めて申請する場合は入管局に確認したり必要書類を集めたりするだけではなく、証明書類を取り寄せたり、ビザによっては理由書の作成が必要な場合もあります。

    変更申請の場合は、それらを申請人(留学生或いは転職してきた外国人)が行うのか、行政書士などの専門家に依頼するのか、依頼する場合の費用は会社が負担するのか、申請人(雇用する外国人)が負担するのか、認定申請(海外から人材を呼び寄せる場合)の場合は貴社が書類作成するのか、或いは専門家等に依頼するのか、など。