ホテル・旅館での就労ビザ事例

入管HP情報 / 関連ブログ

法務省入国管理局で平成27年12月に出されました文書
(法務省 出入国在留管理庁令和6年2月改訂)
「ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について」 には在留資格(ビザ)の許可事例と不許可事例があります。以下まとめておりますがこちらは「技術・人文知識・国際業務」ビザ(在留資格)の許可・不許可の一例です。
個々の事案についての可否は個別の審査を経て判断されます。
詳しくはビザ専門の行政書士や入管局(出入国在留管理庁)などにご相談下さい。

「技術・人文知識・国際業務」ビザについては詳しくはこちら

ホテル・旅館での就労ビザ許可事例

  • ① 本国において大学の観光学科を卒業した者が,外国人観光客が多く利用する日本のホテルとの契約に基づき,月額約22万円の報酬を受けて,外国語を用いたフロント業務,外国人観光客担当としてのホテル内の施設案内業務等に従事するもの。

  • ② 本国において大学を卒業した者が,本国からの観光客が多く利用する日本の旅館との契約に基づき,月額約20万円の報酬を受けて,集客拡大のための本国旅行会社との交渉に当たっての通訳・翻訳業務,従業員に対する外国語指導の業務等に従事するもの。

  • ③ 日本において経済学を専攻して大学を卒業した者が,日本の空港に隣接するホテルとの契約に基づき,月額約25万円の報酬を受けて,集客拡大のためのマーケティングリサーチ,外国人観光客向けの宣伝媒体(ホームページなど)作成などの広報業務等に従事するもの。

  • ④ 日本において経営学を専攻して大学を卒業した者が,外国人観光客が多く利用する日本のホテルとの契約に基づき総合職(幹部候補生)として採用された後,2か月間の座学を中心とした研修及び4か月間のフロントやレストランでの接客研修を経て,月額約30万円の報酬を受けて,外国語を用いたフロント業務,外国人観光客からの要望対応,宿泊プランの企画立案業務等に従事するもの。

  • ⑤ 日本の専門学校において日本語の翻訳・通訳コースを専攻して卒業し,専門士の称号を付与された者が,外国人観光客が多く利用する日本の旅館において月額約20万円の報酬を受けて,フロントでの外国語を用いた案内,外国語版ホームペ-ジの作成,館内案内の多言語表示への対応のための翻訳等の業務等に従事するもの。

  • ⑥ 日本の専門学校においてホテルサービスやビジネス実務を専攻し,専門士の称号を付与された者が,宿泊客の多くを外国人が占めているホテルにおいて,修得した知識を活かしてのフロント業務や,宿泊プランの企画立案等の業務に従事するもの。

  • ⑦ 海外のホテル・レストランにおいてマネジメント業務に10年間従事していた者が,国際的に知名度の高い本邦のホテルとの契約に基づき,月額60万円の報酬を受けてレストランのコンセプトデザイン,宣伝・広報に係る業務に従事するもの。

ホテル・旅館での就労ビザ不許可事例

  • ① 本国で経済学を専攻して大学を卒業した者が,日本のホテルに採用されるとして申請があったが,従事する予定の業務に係る詳細な資料の提出を求めたところ,主たる業務が宿泊客の荷物の運搬及び客室の清掃業務であり,「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとは認められず不許可となったもの。

    ※荷物の運搬や清掃業務は単純労働とみなされ、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格ではできません。

    ただ、業務に従事する中で,一時的に「技術・人文知識・国際業務」に該当しない業務を行わざるを得ない場面、例えば、フロント業務に従事している最中に団体客のチェックインがあり,急遽,宿泊客の荷物を部屋まで運搬することになった場合等も想定されます。こうした場合に当該業務を行ったとしても,入管法上直ちに問題とされるものではありません。

    しかし、結果的にこうした業務が在留における主たる活動になっていることが判明したような場合には,「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動を行っていないとして,在留期間更新を不許可とする等の措置がとられる可能性があります。

  • ② 本国で日本語学を専攻して大学を卒業した者が,日本の旅館において,外国人宿泊客の通訳業務を行うとして申請があったが,当該旅館の外国人宿泊客の大半が使用する言語は申請人の母国語と異なっており,申請人が母国語を用いて行う業務に十分な業務量があるとは認められないことから不許可となったもの。

    例えば、来られるお客様が中華圏のお客様が多ければ、中国か台湾出身の中国語を話せるスタッフを雇用しなければならないということです。

  • ③ 日本で商学を専攻して大学を卒業した者が,新規に設立された日本のホテルに採用されるとして申請があったが, 従事しようとする業務の内容が,駐車誘導,レストランにおける料理の配膳・片付けであったことから,「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとは認められず不許可となったもの。

    この事例も①と同じで駐車誘導,レストランにおける料理の配膳・片付けは単純労働とみなされ、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格ではできません。
  • ④ 日本で法学を専攻して大学を卒業した者が,日本の旅館との契約に基づき月額約15万円の報酬を受けて,フロントでの外国語を用いた予約対応や外国人宿泊客の館内案内等の業務を行うとして申請があった。
    しかし、申請人と同時期に採用され,同種の業務を行う日本人従業員の報酬が月額約20万円であることが判明し,額が異なることについて合理的な理由も認められなかったことから,報酬について日本人が従事する場合と同等額以上と認められず不許可となったもの。

    ※同時期に、同種の業務で採用された日本人との間に報酬の差があってはなりません。報酬額は同じでなければなりません。

  • ⑤ 日本の専門学校において服飾デザイン学科を卒業し,専門士の称号を付与された者が,日本の旅館との契約に基づき,フロントでの受付業務を行うとして申請があったが,専門学校における専攻科目と従事しようとする業務との間に関連性が認められないことから不許可となったもの。

    大学等や専門学校で学んだ科目と従事する業務には必ず関連性がないといけません。

  • ⑥ 日本の専門学校においてホテルサービスやビジネス実務等を専攻し,専門士の称号を付与された者が,日本のホテルとの契約に基づき,フロント業務を行うとして申請があった。

    提出された資料から採用後最初の2年間は実務研修として専らレストランでの配膳や客室の清掃に従事する予定であることが判明したところ,これらの「技術・人文知識・国際業務」の在留資格には該当しない業務が在留期間の大半を占めることとなるため不許可となったもの。

    会社に入社後、採用当初等に一定の実務研修期間がある会社では現場で行う活動のみを見ると、「技術・人文知識・国際業務」のビザに該当しない活動もあります。ですが、入管局ではその相当性を判断した上でこの現場での実務研修活動を「技術・人文知識・国際業務」の在留資格内で認めている場合があります。
    詳しくはこちらから
    「技術・人文知識・国際業務」ビザで許容される実務研修について
    (研修に関して:上記の事例では許可事例の④、不許可事例の⑥




尚、宿泊業で取得されている「技術・人文知識・国際業務」ビザ以外の就労ビザは以下の①②③になります。是非ご確認下さい。

①宿泊分野の「特定技能」ビザ
2019年4月から制度が開始された特定技能ビザ(在留資格)では「技術・人文知識・国際業務」ビザでは認められなかった職種も付随的にできるようになりました。
宿泊分野の「特定技能」ビザ
➡詳しくはこちら

②宿泊の「技能実習」ビザ
2020年2月に、宿泊職種が技能実習2号の移行対象職種として認定されました。
宿泊の「技能実習」ビザ
➡詳しくはこちら

③「特定活動46号」ビザ
2020年2月改定の販売、飲食、ホテル、旅館などインバウンドの接客現場に最適な「特定活動46号」ビザ
➡詳しくはこちら


出典:
ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について