2022年8月30日の閣議決定により、特定技能の在留資格における受入れ見込数の見直しと、制度の改善について、制度の運用に関する方針(分野別運用方針)の変更が行われました。
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①特定技能外国人の受入れ見込数について
各特定産業分野における受入れ見込数は政府基本方針に基づいて、大きな経済情勢の変化が生じない限り、1号特定技能外国人の受入れの上限として運用されることになり、令和6年3月末までの受入れ上限となっています。
飲食料品製造業分野においては、当面、受入れ見込数を最大8万7,200人とし、これを受入れの上限として運用するとのことです。
②制度の改善➡技能実習2号から特定技能への移行の円滑化
技能実習2号を修了した者については、政府基本方針において、特定技能試験等を免除し、必要な技能水準等を満たすものとして取り扱っていますが、特定技能制度が開始された時点で技能実習2号の対象ではなかった一部の職種・作業については、試験免除の対象となる規定が措置されていませんでした。
今般、飲食料品製造業分野の「非加熱性水産加工食品製造業職種(調理加工品製造作業、生食用食品製造作業)」を修了した者について、関連する分野に試験免除で移行できるよう規定を整備しました。
飲食料品製造業での外国人雇用と就労ビザ
入管HP情報 / 業界関連ブログ
〇入管HP情報
2024年3月15日付:技能実習・育成就労・特定技能
出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案
2024年2月29日付:
外国人留学生関連「技術・人文知識・国際業務」「特定活動(告示第46号)」
外国人留学生の就職促進に向けた運用等の見直しについて
〇業界関連ブログ
2024年9月14日:
「特定活動46号」(本邦大学等卒業者)ビザを食品製造業での許可事例
2022年10月19日:
農業・飲食料品製造業・外食業など多岐に渡る企業の就労ビザについて
飲食料品製造業で雇用できる外国人のビザ
- 1,技術・人文知識・国際業務ビザ
大学等で学んだ専門分野の技術・知識と関連性のある業務や、外国人特有の感性を必要とする業務に従事するための事務系・技術系のビザです。事務系では、海外拠点との通訳翻訳の仕事、人事総務や会計の仕事、マーケティング・営業の仕事など。技術系では、製品開発、品質管理、技術教育などの技術職になります。このビザは高度な専門性や技術・知識を持っている外国人のビザになりますので、工場での現場ライン作業はできません。ご注意ください。
「技術・人文知識・国際業務」ビザについて詳しくはこちら
- 2,技能実習ビザ
詳しくは➡飲食料品製造業での技能実習ビザ
- 3,特定技能ビザ
詳しくは➡飲食料品製造業での特定技能ビザ概要
- 4,身分系ビザ
(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)
身分系ビザは就労活動に制限がないため雇用する側にとっては一番雇用しやすい外国人です。
- 5,留学ビザ・家族滞在ビザ
:資格外活動
決められた時間内(週28時間:資格外活動)でアルバイトできる留学ビザや家族滞在ビザ
- 6,特定活動46号ビザ
2020年2月改定の日本の大卒で高度な日本語能力を有する外国人が取得可能なビザ。食品製造会社においては,他の従業員との間で日本語を用いたコミュニケーションを取りながら商品の企画・開発を行いつつ,自らも商品製造ラインに入って作業を行うことが可能なビザです。ただし、単に商品製造ラインに入り,日本語による作業指示を受け,指示された作業にのみ従事することは認められませんので、ご注意ください。
「特定活動46号」ビザについて詳しくはこちら
食料品製造業での在留資格別外国人雇用状況
2021年10月末時点での全産業の外国人労働者は約173万人です。そのうち製造業は約47万人で、全産業の約27%になっています。さらに食料品製造業は約13.8万人で、全産業の約8%に当たります。この約13.8万人を在留資格別の構成比で見ると以下の図のようになります。上記しました4の身分系ビザの外国人を除くと、2の「技能実習」及び5の「資格外活動」が大半を占めています。
(資料:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和3年10月末時点)を基に農林水産省で作成)
出典:飲食料品製造業分野における特定技能外国人受入の制度について2022年11月
飲食料品製造業の人材受け入れの必要性
飲食料品製造業分野においては、ある程度目視や手作業に頼らざるを得ない工程もあり機械化の取組にも限界があります。それに2018年の食品衛生法改正により、2020年6月までに全ての飲食料品製造業者にHACCPに沿った衛生管理の制度化への対応が求められています。その為、今後、飲食料品の製造現場においてHACCPを含む衛生管理の知識を有する人材を確保していく必要性があるのです。
※HACCP:
Hazard Analysis and Critical Control Pointの頭文字からきており、衛生管理の手法です。食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保する衛生管理手法なのです。
飲食料品製造業での求められる人材
飲食料品製造業での求められる人材とは、飲食料品の製造工程で衛生管理ができる人材です。具体的には以下のような人材です。
・主な食中毒菌や異物混入に関する基本的な知識・技能がある。
食中毒菌の繁殖防止や殺菌の方法について正しい知識を身につけ、適切に対応できる。
・食品等を衛生的に取り扱う基本的な知識・技能がある。
原料の選別・洗浄から製造・保管までの間、食品を常に衛生的に管理できる。
・施設設備の整備と衛生管理に関する基本的な知識・技能がある。
施設内外の清掃・点検を的確に行い、施設設備の衛生状態を良好に管理できる。
飲食料品製造業での技能実習ビザ
1,目的
国際貢献のため開発途上国等の外国人を日本で一定期間受け入れ、OJTを通じて技能を移転する実習目的です。実習生が特定分野の技能等を習得するためのビザです。
2,技能実習の期間
最長5年
1号は1年、2号は2年(通算3年)、3号も2年(通算5年)。3号は優良企業のみですが、優良企業になれば更に2年雇用できるということです。
3,転職
基本的に転職は不可です。
※受入企業先の倒産、技能実習生に対する人権侵害行為や賃金、残業代の支払いがされない等の問題が起こった場合は、技能実習生の保護のため技能実習生の転籍措置に当たる転職は可能です。また、2号から3号への移行時は転籍可能です。
4,対象職種・対象業種
(令和4年4月25日時点)
食品製造関係(11職種18作業)
缶詰巻締、食鳥処理加工業、加熱性水産加工食品製造業、非加熱性水産加工食品製造業、水産練り製品製造、牛豚食肉処理加工業、ハム・ソーセージ・ベーコン製造、パン製造、そう菜製造業、農産物漬物製造業、医療・福祉施設給食製造。
※上記の職種のうち、「農産物漬物製造業」、「医療・福祉施設給食製造」は2号までの3年の実習となりますが、それ以外の職種は優良企業・監理団体の場合、3号技能実習合計5年の実習が可能です。
※従事できる関連業務・周辺業務は全体の作業の割合による制限あり、時間数も決められているので注意が必要です。
技能実習ビザについて詳しくはこちら
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飲食料品製造業での特定技能ビザ受入状況
- 1,目的
就労目的です。深刻な人手不足にある12分野に対応するため一定の専門性・技能を持つ即戦力の外国人材を労働力として受入れる就労目的のビザです。
- 2,特定技能の期間
更新により通算5年。
- 3,受入れ見込み数
2022年8月30日の閣議決定で、受入れ見込数の見直しがありました。
飲食料品製造業分野では、2024年3月末までの受入れ見込数を最大8万7,200人としています。
- 4,人材の基準
以下の①及び②の試験の合格者 又は 飲食料品製造業分野の技能実習2号を良好に修了した者
①技能水準(試験区分)
「飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験」 ((一社)外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が実施)
②日本語能力水準
「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」
- 5,人材のイメージ
飲食料品の製造工程でHACCPに沿った衛生管理ができる人材
・主な食中毒菌や異物混入に関する基本的な知識・技能
・食品等を衛生的に取り扱う基本的な知識・技能
・施設設備の整備と衛生管理に関する基本的な知識・技能
- 6,外国人が従事する業務
飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生)
飲食料品(酒類を除く)の製造・加工とは、原料の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥等の一連の生産行為等を言います。
(*単なる選別、包装(梱包)の作業は製造・加工にはあたりません。)
日本人が通常従事している関連業務に付随的に従事することも可能ですが、関連業務ばかりに従事することは認められません。
関連業務にあたりえるものの例
①原料の調達、受入れ
②製品の納品
③清掃
④事務所の管理の作業
- 7,飲食料品製造業分野の対象となる事業所の範囲
外国人が活動を行う事業所は、日本標準産業分類に掲げる産業のうち主として次のいずれかに掲げるものを行っていることです。
・中分類09 食料品製造業
・小分類101 清涼飲料製造業
・小分類103 茶・コーヒー製造業(清涼飲料製造業を除く)
・小分類104 製氷業
・細分類5861 菓子小売業(製造小売)
・細分類5863 パン小売業(製造小売)
・細分類5897 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(*製造小売に限る)
※酒類製造業、飲食料品小売業(細分類5861,5863,5897を除く)、飲食料品卸売業、塩製造業、医療品製造業、香料製造業、ペットフードの製造は対象となりません。
※食料品、飲料(酒類を除く)を製造加工し、卸売する事業所 が対象となります。
製造業とは、製品の製造加工を行い、卸売する事業者をいいます。
この場合の卸売とは、
①卸売業・小売業・産業用事業者に販売すること、
②業務用に使用される商品の販売、
③同一事業者の他事業所への引き渡し をいいます。
また、店舗を介さず通信販売等により直接消費者に販売している場合を含みます。
- 8,受入れ機関等の条件
「食品産業特定技能協議会」の構成員になり、必要な協力を行うことです。
- 9,食品産業特定技能協議会とは
・飲食料品製造業分野及び外食業分野における制度の適切な運用を図るため、2019年3月に設置されました。
・主な活動内容は?
特定技能外国人の受入れにかかわる制度の趣旨や優良事例の周知
特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発
就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
地域別の人手不足の状況把握・分析
・特定技能所属機関(受入れ事業者)、当該分野の事業者に支援する登録支援機関は、協議会の構成員になり、農林水産省及び協議会に対して必要な協力をすることが課せられています。
・協議会加入時期:受入れ前に協議会に加入する必要はなく、初めて特定技能外国人を受け入れてから4か月以内に協議会に加入してください。
・会費については、当面の間、入会金や年会費等の費用は徴収されません。
- 10,雇用形態
直接雇用に限ります。
- 11,転職
同一の業務区分内又は試験によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間において転職可能です。