特定技能ビザとは、在留資格「特定技能」のことで 就労ビザの種類 の中の一つです。特定技能ビザに関する事柄を以下にまとめました。
特定技能ビザ理解のお役に立てたら幸いです。
特定技能ビザ
出入国在留管理庁HPからのビザ関連更新情報
●2024年3月29日閣議決定
特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)
● 2024年3月15日付:技能実習・育成就労・特定技能
出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案
特定技能制度の創設
日本の深刻な人手不足に対応するため,生産性向上や国内人材確保の取組を行っても人材を確保することが困難な産業分野に対し、一定の専門性・技能をもった即戦力となる外国人を受け入れるため、特定技能制度が創設されました。特定技能ビザは特定技能制度で受入れる外国人材のビザで、2019年4月に始まりました。
特定技能ビザの種類
特定技能ビザには「特定技能1号」、「特定技能2号」の2種類があります。「特定技能1号」は,特定産業16分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
「特定技能2号」は,特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
- 特定技能1号のポイント
○ 在留期間:1年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間ごとの更新(通算で上限5年まで)
○ 技能水準:試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
○ 日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認
(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
○ 家族の帯同:基本的に認めない
○ 受入れ機関又は登録支援機関による支援の実施が求められている
- 特定技能2号のポイント
○ 在留期間:3年,1年又は6か月ごとの更新 (更新回数に制限なし)
○ 技能水準:試験等で確認
○ 日本語能力水準: 試験等での確認は不要
○ 家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者,子)
○ 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外
特定技能2号について
特定技能2号については、特定技能1号の12の特定産業分野のうち、建設分野及び造船・舶用工業分野の溶接区分のみが対象となっていました。
ですが、「2023年6月9日閣議決定「特定技能2号の対象分野の追加について」にある通り、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の9分野と、造船・舶用工業分野のうち溶接区分以外の業務区分全てを新たに特定技能2号の対象とすることとしました。
これにより、特定技能1号の12の特定産業分野のうち、介護分野以外の全ての特定産業分野において、特定技能2号の受入れが可能となります。
(詳しくは上部の「特定技能2号の対象分野の追加について」をご覧ください。
尚、介護分野は、現行の専門的・技術的分野の在留資格「介護」があるため、特定技能2号の対象分野とはされていません。
特定技能の特定産業16分野
特定技能1号による外国人の受入れ分野(特定産業分野)は,以下の16分野です。(令和6年3月29日閣議決定により、対象分野に「自動車運送業」、「鉄道」、「林業」、「木材産業」の4分野が新たに追加されました。
また、同じく令和6年3月29日閣議決定により、令和6年4月から向こう5年間の各分野の受入れ見込数も再設定しました。
- ①介護:135,000人(厚生労働省)
- ②ビルクリーニング:37,000人(厚生労働省)
- ③工業製品製造業:173,300人(経済産業省)
※「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」から名称を変更しました。
また、新たに7業務区分(紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、陶磁器製品製造、紡織製品製造、縫製、RPF製造、印刷・製本)を追加しました。
- ④建設:80,000人 (国土交通省)
- ⑤造船・ 舶用工業:36,000人(国土交通省)
- ⑥自動車整備:10,000人 (国土交通省)
- ⑦航空:4,400人(国土交通省)
- ⑧宿泊:23,000人(国土交通省)
- ⑨自動車運送業:24,500人(国土交通省)
- ⑩鉄道:3,800人(国土交通省)
- ⑪農業 :78,000人(農林水産省)
- ⑫漁業 :17,000人(農林水産省)
- ⑬飲食料品製造業:139,000人(農林水産省)
- ⑭外食業:53,000人(農林水産省)
- ⑮林業:1,000人(農林水産省)
- ⑯木材産業:5,000人(農林水産省)
特定技能外国人に必要な条件
○18歳以上であること
○「特定技能1号」「特定技能2号」いずれも各特定産業分野の試験に合格していること(「特定技能1号」は日本語試験にも合格する必要があります)。
ただし,技能実習2号を良好に修了した技能実習生は,技能実習2号移行対象職種と特定技能1号における分野(業務区分)との関係について関連性が認められる場合,試験が免除されます。
○特定技能1号で通算5年以上在留していないこと
○保証金を徴収されていないこと又は違約金を定める契約を締結していないこと
○自らが負担する費用がある場合,内容を十分に理解していること
など 。特定技能人材に関する採用活動
特定技能制度では,監理団体や送出機関は設けておらず,受入れ機関は直接採用活動を行うか,国内外の職業紹介機関を活用し,採用活動を行うことになります。
「技能実習との違い2:人材探し」にもありますが、技能実習は監理団体や海外の送出機関が希望に沿った人材探しや面接のセッティングをしてくれますから 人材の確保が比較的容易です。それに比べれば、特定技能人材の確保は少々難しいかもしれません。
しかし反対に考えれば広い範囲で探すことができるので選択肢は広いです。そのため、受入れるパターンによって受入れ準備や要件、かかる期間や費用は違ってくるということにご留意願います。
人材探しとして、海外で募集をして貴社の求める人材が試験に合格後呼び寄せることも可能です。また国内での募集であれば,ハローワークや大学や専門学校の留学生に求人募集する等を通じて採用することも可能です。尚、採用する特定技能外国人の国籍によっては,当該国の法律等によって所定の手続を経ることが求められている場合がありますのでご注意ください。➡入管HPの特定技能に関する各国別情報
特定技能受入れ機関(雇用の注意点)について
1, 受入れ機関が外国人を受け入れるための基準
① 外国人と結ぶ雇用契約が適切(例:報酬額が日本人と同等以上)
② 受入れ機関自体が適切(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
③ 外国人を支援する体制あり(例:外国人が理解できる言語で支援できる)
④ 外国人を支援する計画が適切(例:生活オリエンテーション等を含む)
2, 受入れ機関の義務
① 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行(例:報酬を適切に支払う)
② 外国人への支援を適切に実施
→ 支援については,登録支援機関に委託も可。
全部委託すれば1③も満たす。
③ 出入国在留管理庁及びハローワークへの各種届出
特定技能外国人の受入れ後は,受入れ状況等について,地方出入国在留管理局及びハローワークに定期又は随時の届出を行う。
(注)①~③を怠ると外国人を受け入れられなくなるほか,出入国在留管理庁から指導,改善命令等を受けることがあります。
3 ,1号特定技能外国人支援計画の作成
1号特定技能外国人を受け入れる受入れ機関は,当該外国人が「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画)を作成し,当該計画に基づいて支援を行わなければならない。
特定技能の登録支援機関について
1 登録を受けるための基準
① 機関自体が適切(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
② 外国人を支援する体制あり(例:外国人が理解できる言語で支援できる)
2 登録支援機関の義務
① 外国人への支援を適切に実施
② 出入国在留管理庁への各種届出
(注)①②を怠ると登録を取り消されることがある。
特定技能届出について:受入れ機関・登録支援機関
受入れ機関・登録支援機関は,出入国在留管理庁長官に対し,各種届出を随時又は定期に行わなければなりません。受入れ機関が届出の不履行や虚偽の届出といった違反が発覚した場合,指導・罰則の対象となります。登録支援機関についても,指導や登録の取消しの対象となります。
- 1,受入れ機関の届出
○ 随時の届出
・特定技能雇用契約及び登録支援機関との支援委託契約に係る変更,終了,新たな契約の締結に関する届出
・支援計画の変更に係る届出
・特定技能外国人の受入れ困難時の届出
・出入国又は労働関係法令に関する不正行為等を知った時の届出
・外国人を雇い入れた時または離職した時に氏名や在留資格等の情報を届出
(地方出入国在留管理局でなくハローワークに届け出ること)
○ 定期の届出
・特定技能外国人の受入れ状況や活動状況に関する届出
・支援計画の実施状況に関する届出
- 2、登録支援機関の届出
○ 随時の届出
・登録の申請事項の変更の届出
・支援業務の休廃止又は再開の届出
○ 定期の届出
・支援業務の実施状況等に関する届出
分野別協議会について
特定技能外国人を受け入れる全ての受入れ機関は,特定産業分野ごとに分野所管省庁が設置する協議会の構成員になることが求められます。
協議会は,分野所管省庁,受入れ機関,業界団体その他関係省庁で構成され,各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう,制度や情報の周知,法令順守の啓発のほか,地域ごとの人手不足の状況を把握し,必要な対応を行います。
協議会への加入手続の詳細は,各分野所管省庁へお問い合わせください。
特定技能に関する二国間取決め(MOC)の概要
1,二国間取決め(MOC)の概要
政府基本方針:
保証金を徴収するなどの悪質な仲介事業者(ブローカー)等の介在防止のため,二国間取決めなどの政府間文書の作成等,必要な方策を講じる。
二国間取決めのポイント:
①情報共有
特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受入れの確保等のために必要又は有益な情報を速やかに共有する。この情報には,特定技能外国人に係る求人・求職に関与する両国内の機関による以下の行為に関する情報を含む。
・保証金の徴収,違約金の定め,人権侵害行為,偽変造文書等の行使及び費用の不当な徴収等
②問題是正のための協議
定期又は随時に協議を行い,本制度の適正な運用のために改善が必要と認められる問題の是正に努める。 二国間取決めのイメージ:
署名状況(16か国)(令和5年7月6日時点)
フィリピン(H31.3.19)、カンボジア(H31.3.25)、ネパール(H31.3.25)、ミャンマー(H31.3.28)、モンゴル(H31.4.17)、
スリランカ(R1.6.19)、インドネシア(R1.6.25)、ベトナム(R1.7.1文書交換)、バングラデシュ(R1.8.27)、ウズベキスタン(R1.12.17)、
パキスタン(R1.12.23)、タイ(R2.2.4)、インド(R3.1.18)
マレーシア(R4.5.26)、ラオス(R4.7.28)、キルギス(R5.7.6)
2,各国の送出手続について
・日本と在留資格「特定技能」に係る協力覚書(以下「特定技能MOC」)を作成した国によっては,それぞれの国の国内規定に基づき送出手続を定めている場合があります。
・既に特定技能MOCを作成した国であっても,外国側の送出手続が未整備の国があります。
・国によっては,送出手続を行ったことを証明する書類を発行しており,特定技能MOCにおいて,日本側が特定技能外国人を受け入れるに当たり,当該書類を確認することが規定されている場合があります。そのような国については,在留資格認定証明書交付申請及び在留資格変更許可申請(以下「在留諸申請」といいます。)において,当該書類を提出していただく必要があります。
・外国側の送出手続が整備中の国の国籍の方であっても,入管法令に従って在留諸申請を行うことができます(上述の送出手続を行ったことを証明する書類を在留諸申請の際に提出する必要はありません。)。
・特定技能MOCを作成した国でなければ,特定技能外国人の受入れができないものではありません。
出典:
特定技能ガイドブック~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ~(出入国在留管理庁)
新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組(出入国在留管理庁)
新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組「参考資料」の①②