特定技能ビザから外国人の支援と共生を考える

明けましておめでとうございます。
年始になって新型コロナウイルスに感染者数が爆発的に増えたニュースが多く、特に沖縄県は8日、新型コロナウイルスの感染者が新たに1759人確認されたと発表されました。7日の1414人に続き、2日連続で1000人を超え過去最多を更新しています。

年明けから心配しておりますが、本年も外国人雇用の就労ビザのご案内を分かり易く、丁寧に、正しくお伝えしていきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

1,特定技能外国人数と今後の予測

入管のホームページに、令和3年6月15日付の「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」があります。 令和3年12月更新の「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」によると、令和2年10月末時点の外国人労働者数は172万4,328人で、令和3年11月末時点の特定技能1号在留外国人数45,970人となっています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響はあるものの、今後の外国人材の需要を考えると新型コロナが収束した後に来日する外国人の増加は容易に予測できます。また、2021年11月18日の日経新聞に「外国人就労無期限に・熟練者対象、農業など全分野 入管庁検討」という記事もありました。

2,特定技能外国人の在留期限

「特定技能」という在留資格(通称:ビザ)がありますが、このビザは特に人手不足が深刻な14分野で取得可能です。1号と2号があって、特定技能1号は、特定産業分野(14分野)に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人の在留資格です。各産業分野の試験等に合格した人や技能実習2号を修了した外国人が取得可能ですが、現在は通算で5年までという在留期限の上限があります。

特定技能2号は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人の在留資格で、14分野のうち、現在は「建設」と「造船・舶用工業」のみ2号があります。「介護」は介護福祉士の資格を取得すれば「介護」という在留資格が取得できます。ですので、現在は特定技能の「建設」「造船・舶用工業」「介護」の1号で仕事をしている外国人の方は「無期限」に就労が認められる可能性につながっており、他の11分野のような上限はありません。

ですが、2021年11月18日の日経新聞の「外国人就労無期限に・熟練者対象、農業など全分野 入管庁検討」記事にあるように上記3分野以外の11分野も2号へ追加になれば、特定技能14の全分野の外国人が無期限に日本で仕事ができる可能性につながります。(もちろん2号の在留資格取得には試験に合格しなければならない等ありますが)2号の場合、家族の帯同(配偶者,子供)は要件を満たせば可能です。また、1号と違い受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外となります。特定技能2号は、就労ビザの中の最もよく取得される専門知識を活かした「技術・人文知識・国際業務」ビザや「介護」ビザと同じような技能水準となり、認められることも多くなりますね。

3,特定技能外国人に対する支援

11分野の2号へ追加が現実になると、外国人の長期の就労や永住する外国人の拡大につながりますので賛否両論あると思いますが、現実となれば、今まで以上に外国人材の受入れ支援、環境整備に全力で取り組んでいかなければなりません。まずは、「特定技能1号」での支援計画に基づく10項目支援を行うということです。内容としては、職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の実施を行わなければなりません。

例えば住居確保(連帯保証人になる・社宅を提供する等)や生活に必要な銀行口座等の開設、携帯電話やライフラインの契約等の案内・各手続の補助等(公的手続等への同行、必要に応じ社会保障・税などの手続の同行,書類作成の手伝い)。そして円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー,公共機関の利用方法や連絡先,災害時の対応等の説明等をする等です。

また、雇用した外国人が早く会社になじめるような歓迎会、親睦の機会をつくる、日本語力の向上につながる機会を案内する、地域のお祭りなどの交流に誘う、等も支援になります。それに加え大切な事は、外国人の国の文化を知り配慮してあげることや外国人が理解できる言語で相談にのったり、時には苦情対応したりしてより長く会社の戦力となってもらえるように雇う側も努力が必要です。外国人を雇用する上での基本中の基本ですが、お給料はもちろんの事、待遇は日本人と同等以上にしなければなりません。

4,技能実習生も特定技能外国人も受け入れ態勢の基本は同じ

外国人雇用するうえで上記のように受入れ態勢を整えるのは当然で、「技能実習生」の受入も「特定技能外国人」受入れと同様な態勢になります。ですが、実際はそれらの支援ができていない受入企業や技能実習の監理団体もあります。

ひどい受入企業は低賃金、暴力等がありその為技能実習生が失踪したりします。ニュースやドキュメンタリー番組でも取り上げていますからご存じの方も多いのではないでしょうか。失踪した外国人は元の会社以上にひどい扱いを受けたり、仕方なく犯罪に加担したり、自らも事件を起こしたりというニュースや報道番組もあり心が痛みます。技能実習がらみの事件の報道が多いだけに、技能実習生を温かく見守って指導しておられる会社や監理団体、頑張って仕事をしている実習生もいるということを知っているだけに本当に残念で腹立たしくなります。

技能実習は受け入れ先を変える「転職」ができないと思っている方は多いですが、全く認められないわけではありません。私は技能実習生の監理団体に、「受入れ先で残業代が支払われない、暴力を振るわれた等で受け入れ先を変えたい」というお話を伺い、「転職」のお手伝いをしたことがあります。このケースのように技能実習生の方も良い監理団体に管理監督されていれば、何らかの問題が発生したときに相談できる場があり、良い方向へ導いてもらえます。その時は外国人技能実習機構も事の重大さを分かってくれて素早く対応してもらい数日で技能実習生たちは別の職場に「転職」しました。

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5,外国人への支援が外国人との共生になる

今後「特定技能」ビザや「技能実習」ビザ受入れを考える企業様は法令遵守でお願い申し上げます。待遇は日本人と同じ待遇で、受け入れ態勢の支援義務を守って雇用して頂くようにということです。もちろん特定技能や技能実習以外のビザでも同じです。専門的な外国人、例えば「技術・人文知識・国際業務」ビザや「介護」ビザも待遇は日本人と同じです。また、外国人が早く日本の社会や職場になじめるような環境を作って頂きメンタル面でも支えてあげて頂けるようにお願い致します。

まとめになりますが、どのビザで外国人を雇用したとしても、仕事上でも生活上でも、そして精神的にも支援できるようにしてあげて下さい。それらの支援が外国人との共生につながります。

私自身も外国人の方が日本に来て仕事をして良かったと思って頂けるように、また、会社様には外国人を雇用して良かったと思って頂けるように日々精進して参ります。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

このブログが読んで下さった方のお役に立てれば幸いです。

出典:
新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組(令和3年12月更新)
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策 (令和3年度改訂)
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(入管HP)
2021年11月18日付日経新聞「外国人就労無期限に・熟練者対象、農業など全分野 入管庁検討」

2022年01月08日